1■アルゲダスが書いた最初の短編は「ワルマ・クヤイ」である("Warma kuyay", 1933)。冒頭の一文は、戯曲のト書きを思わせる。――「月夜の晩に、ビセカの谷間で(Noche de luna en la quebrada de Viseca.)。」
このビセカという谷は、アヤクチョ県のルカナス(Lucanas)から約8キロほどのところにある。そこにアルゲダスの父方のおじ(tío)の農場があった(おじの名前はJosé Manuel Perera Arellano)。
継母や義兄とうまく折り合えなかったアルゲダス少年は、継母の農場を抜けだして、このVisecaの農場に逃れた。1921年のことだからアルゲダスは10歳のころのことである。
アルゲダスはここで2年ほど暮らした。近くにアルゲダスの短編によく出てくるインディオの集落Utek'がある。
なおVisecaはBisecaともつづられることかあるようだ。